チェロ弾きの上司。
「真木、フレーズの終わりの音、押しすぎ」
「弱いとしょぼいだろ」
「変。ださい」
「真木、前に出過ぎ。もっと後ろに回りなよ」
「ここはこれ位いくだろ」
「バランスおかしい」
「お、今のいいじゃん!」
「すごいあおられた感じするけど」
「そりゃあおったからな」
三神さんと真木さん、言いたいこと言い合うから、ハラハラする。
それだけ仲がいいってことなんだろうけど。
友達に気を許してる、素の真木さんを見ると、何だか困ってしまう。
だって、
やわらかかったり、
いたずらっぽかったり、
笑ったり、
仕事では見たことがないプライベートの表情をたくさん見るんだもの。
あたしはそのたび、
ドキドキしたり、
うれしかったり、
恥ずかしかったり、
……心の処理能力、キャパシティオーバー。
上司とカルテットなんてやるもんじゃない。
曲に集中しよ。
チェロの人は、ただのチェロが上手い人。
チェロの人は、ただのチェロが上手い人。
よし。