チェロ弾きの上司。
練習室に戻る途中の廊下で、後ろから頭をベシっと譜面で叩かれた。

「緊張しすぎ」

真木さん……。

「だって、仕方ないじゃないですか……」
「だって、じゃねーよ」
「あんなとこで弾くの初めてなんですもん」
「ガキの頃発表会くらい出てただろうが」
「何年前だと思ってるんですか!」

「そこの2人、うるさい。他の人の迷惑」

三神さんにビシっと注意された……。

「望月さん、気分転換に、開場するまでホールの外、歩いておいで。真木も」
「はっ⁉︎ 何でオレまで⁉︎」
「騒いだ罰。リーダー命令」




ホールから公園へと延びるペデストリアンデッキを歩く。
両側には街路樹。
土曜昼下がり。いいお天気。
とはいえ、2月なので、寒い。

「くそー。さみー」

コート・マフラー・手袋、すべてブランドもので身を固めた真木さんと並んで歩く。
あたしは量販店のファッションです。

「すみません……」
「ほんとだよ」
はぁ。申し訳ない。
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