いつか孵る場所
「透は私が大好きだった時の透、そのままね」

ハルは嬉しそうに微笑んだ。

「…じゃあ今は?」

透の問いにハルは首を傾げる。

透は真っ直ぐハルの目を見つめた。



「ハルは今、僕の事、どう思う?」



真っ直ぐすぎてハルは目を逸らせなかった。

「…ドキドキする」

透は不満足そうな表情を浮かべた。

− 回答になってない。−

「再会してからずっと、透の事を考えてる。…でも」

「あの男?」

ハルが話している途中で透は口を挟んだ。

「うん。最初は優しい上司だなって思った。けど…段々耐えきれない」

「付き合ってるの?」

ハルは首を横に振って、

「付き合ってない。少なくとも私はね」

− 何だかややこしそうだなあ… −

透は天井を見つめた。

「食事には何度も誘われて行ったけど、それだけ。でも何か勘違いしているのか、会社で『オレの女』というアピールをみんなにしてる」

「…勘違い男か。余程自分に自信を持っているんだろうな」

透は腕組みをして天井を眺める。

− どこの職場でもいるけどな…。やってる事が子供みたいだな。全く… −

大きくため息をついた。



「ところでハル」

もう一度、話を戻す。

「僕はハルが大好きだよ。ハルと再会してから本当に狂いそうなくらい、ハルの事を考えてる」

透の胸が高鳴る。

医師国家試験の合格発表より緊張するくらい。

「もう一度聞く。ハルは僕の事、どう思ってる?」
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