さくらの花が舞う頃に
…………やっぱりいくら考えても答えは出ないな。
今さらながら、私の恋愛経験の無さにため息がでそうになる。
「………あ、大橋さん。そろそろバスに移動するって」
不意に隣にいた戸山くんに肩を叩かれて我に返った。
「バス?」
「うん。ほら、各クラス移動してくださいって言ってる」
「あ、ほんとだ」
先生たちの指示を聞いて、周りの人たちが動き始めている。
私たちも早くバスに乗らないと…………
あれ? でも………
私たちが乗るバスってどこだろう?
私がキョロキョロしていると、だれかにバシッと手を掴まれた。
「俺らのバス、向こうだよ。早く行こ!」
そう言って、私の手を掴んだ戸山くんはそのまま走り出した。
「え!? ちょっ、待っ……」
私が声をかけても戸山くんは止まらない。
というか、どんどんペースが上がってる気がする。
周りの視線が気になるとか、走るペースが速すぎてそんなこと思ってる余裕ない。
なんか……………楽しいかも。
戸山くんに手を引かれながら、私は自分でも気がつかないうちになぜか笑顔がこぼれていた。