さくらの花が舞う頃に




佳奈は小さく笑ったその顔のまま、宮下くんに向き直って…………





「落とせるもんなら、落としてみなよ」





挑戦的にそう言った佳奈は、柔らかい笑顔を宮下くんに向けた。




いきなりそんなことを言われて驚いたのか、ぽかんと口を開けて佳奈を見る宮下くん。




「お前なんでそんなアホみたいな顔してんだよ〜」



口を開けたまま固まる宮下くんを男子がからかうと、宮下くんもはっと我に返った。



「落とす!秒で落とすから、覚悟しとけよ!?」



宮下くんは佳奈に向かってそう叫ぶと、そのまま勢いよくスキーで斜面を下りていった。



「え、ちょっ、宮下待てよ!」




いきなり滑り下りていった宮下くんを友達が慌てて追いかける。




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