さくらの花が舞う頃に
「宮下…………スキー上手くない?」
私の隣に来たメグがそうつぶやいた。
佳奈にスキーを教えてもらおうとか言ってたから、てっきり私と同じ初心者なのかと思ってたけど………
今、目の前の斜面を滑っている宮下くんはストックを巧みに使ってとてつもない速さで滑っている。
「えー、すごい。宮下くん、スキーうま………」
私がそう言いかけたそのときだった。
「と……止まらない〜!!」
宮下くんの大絶叫が離れたところにいる私たちの方まで聞こえてきた。
大絶叫の直後に、さっきまでの上手さが嘘のようにそのまま真横に倒れる宮下くん。
そして、まるでボールのようにごろごろと転がり落ちていった。