大人の恋は波乱だらけ!?
「う……嘘でしょ!?
まだシナリオだって出来ていないのに!!」

「はあ!?じゃあ何で発売日を……」

「……分からない……どうしよう……」


震えでどうにかなりそうだった。
頭が真っ白で何も考えられない。

今は7月で……来年の10月となると1年と3か月しかない。
しかも、シナリオだけで完成ならいいけど……発売となると勿論ゲーム自体が完成していないといけない訳で……。
どう考えても無理だ、絶望な事しか頭に浮かんでこない。


「葉月……」

「ごめん……私行くね……」

「う……うん」


明美に謝り、私はオフィスへと戻る。
こんな所で油を売ってる場合じゃない。
一刻も早くシナリオを完成させなければ。

震える手を押さえながら早足で歩き出す。


「……どうしたら……」


いきなり突きつけられた現実に頭が追い付かない。
ガクガクと震える足がオフィスに戻るのを拒否している様だった。


「高梨部長……」


私はどうしたらいいんですか……?
ココにいない高梨部長の事を思い浮かべながら必死に自我を保つ。

その時だった。


「ふざけないで下さい!」


今まさに考えていた人の声がどこからか聞こえてくる。
それは私が寄りかかっている壁の奥からだった。
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