大人の恋は波乱だらけ!?
互いにお風呂を済ませ、後は寝るだけの状態になった私たち。
普通ならリラックスできる時間帯だけど私はリビングのソファーで身を硬くしながら昴さんを見つめていた。


「で……ではお願いします」


ノートとシャーペンを持ち、彼の言葉をジッと待っていた。
漸く【大人の恋愛】を教えて貰えるんだ。
不安と期待が入り混じるが、ゲームのシナリオが少しでも先に進むと思うと嬉しく感じる。


「まずはお前が作ったシナリオがあるなら見せて見ろ」

「え?あっはい!」


私は昴さんにシナリオが描いてある紙を渡す。
前に作った“登場人物がただ単に年齢を重ねただけ”のシナリオだ。
相当のダメだしが来そうだな……。
昴さんが読み終わるのを緊張と共に待っていれば、パサリと音を立ててテーブルにシナリオが置かれる。


「これを見る限りでは【大人の恋愛】なんて1ミリも感じないな」

「うっ……」


ハッキリと言われる言葉に思わず言葉が漏れる。
自覚はあったが人から言われると結構胸にクルもんだな。
苦笑いを浮かべながら口を開く。


「私もそう思います。
……登場人物たちに年齢を……」

「年齢を重ねさせただけだって?」

「え……?」


正に今言おうとしていた言葉を先に言われる。
驚きのあまり言葉を失っていれば昴さんはシナリオを捲り出す。


「ココに出てくる登場人物たちは30歳前後だ。
なのに、16、17歳と何ら変わりない」


昴さんは軽く鼻で笑うと黙ったままシナリオを見続けていた。

流石としか言えない。
長年、小説を書いてきた昴さんには直ぐに分かってしまうんだ。
この物語の内容の薄さが、キャラの味の無さが……。
落ち込んでいる私に容赦なく昴さんの言葉が突き刺さる。


「コイツ等が歩んできた道も年齢を重ねてきただけの成長も見られない」


昴さんの言う通り過ぎて何も言えない。
彼に言われた事をメモをしていると『だが』と付け足される。

そっと顔を上げ昴さんの顔を見れば真剣な目つきで私を見据えていた。
< 155 / 514 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop