大人の恋は波乱だらけ!?
「……」


カタカタと鳴り響くキーボードの音。
いつもの事なのに、今は煩わしく思えるんだ。

私はオフィスで【恋した悪魔】の小説をパソコンへと打ち込んでいた。
だけど集中が出来なくて、さっきから打っては消しの繰り返しだ。

頭の中を支配するのは昴さんの顔だった。
さっきの冷たい目を思い出すだけで、目の奥が熱くなるんだ。


「桜木?」

「……高梨部長……」

「どうした?顔色良くないぞ」

「いえ……何でもありません」


私は笑顔を張り付けて再びパソコンへと向かった。
キーボードに手を走らせるけれど、固まった様に動かなくなる。


「……桜木……お前……」

「高梨部長!確認お願いします」

「……今行く。無理するなよ」


ポンと私の頭を叩くと、彼を呼んだ人の所へと向かう高梨部長。

正直、ホッとしている自分がいる。

だって。
こんな気持ちで高梨部長と話す事なんて出来ない。

そう思っていれば、また頭の中には昴さんが浮かんでくる。


「もう……何だって言うのよ……」


バンとデスクを叩いてキーボードへと俯せた。
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