大人の恋は波乱だらけ!?
「昴さん……?」


彼が消えていったリビングの扉を見つめる。
もうそこには誰もいないのに、何故か目が離せなかった。

どうして?

そんな想いでいっぱいになるんだ。

締め付けられる胸に気を取られていれば、ふいに頬が濡れていくのが分かる。


「あれっ……何で……」


自分の口から出た声は震えていて。
頬にあてる手も僅かに震えていた。

私は泣いているの?

すぐに分かったけれど、その理由は分からない。

ただ……。

昴さんの冷たい目を見た瞬間、胸がズキリと痛んだんだ。


「……行ってきます……」


誰にも届かない声は玄関へと消えていった。
< 343 / 514 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop