大人の恋は波乱だらけ!?
彼はもっと上に行くべきだ。
“部長”という立場に留まっていい人じゃない。

上の人に媚びる事なく、かと言って下の人を見下す訳でもなく。
誰に対してでも平等で自分の意見をきちんと言える。
こんな人にこそ会社をいい方向に導いて欲しい。

この会社のゲームを愛してくれている人たちの為にも……。


「……ったく。
お前って奴は本当に……」


大袈裟にタメ息をつくと高梨部長は手で目を覆った。
呆れられたのかと思ったが、口元が優しく吊り上ったのが分かった。

笑うような要素なんかないのに……。
そう思ったが高梨部長に言葉を掛ける事すら出来なかった。


「……ありがとな」


目元から手を離し、ゆっくりと顔を緩める高梨部長。
その顔はとても優しい顔だった。

いつもの高梨部長の笑顔も素敵だけどそれとは少し違った。
私だけに向けられたその笑顔は見た事も無いくらい穏やかなものだった。
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