大人の恋は波乱だらけ!?
「よっし……やるか」

「え……?」


パチンと乾いた音が会議室に響き渡る。
高梨部長は自分の右手で頬を叩くとその手を私へと差し出してきた。
呆然とする私を見て高梨部長はいつもオフィスで見せるものと同じ笑顔を浮かべた。


「2人で社長たちをあっと驚かせるようなゲームを作ろう」


私と高梨部長で作る……。

そう考えるだけで胸が弾んだ。
この人とならいいものが作れそうだ。

高梨部長のゲームへの想いは入社してからずっと傍で見てきた。
だから痛いくらいに分かっているつもりだ。

私はゲームに対する想いはそれ程ないかもしれない。
だけど、誰かが楽しめるようなモノを作りたいという気持ちは誰にも負けない。

小説を書き続けた私にとって、それが当たり前のものになっていた。
だから……。

小説がゲームに代わっただけ。

この会社のゲームを待っている人がいる限り、社員でありシナリオライターの私はその期待に堪え続けなければならない。


「……はい。
高梨部長と一緒に作りたいです」


私は星輝の社員なんだ。
だから、私が出来る事を精一杯やろう。

差し出された手に自分の手を重ねニコリと顔を緩めた。
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