大人の恋は波乱だらけ！？
爽やかな仮面の裏
高梨部長は最後まで私を心配してくれていた。
扉の前で何度も振り返りながら『気を付けろよ』と言ってくれていた。

周りのお客さんたちが高梨部長と私を見ながら微笑んでいた事もあり、少し気まずさを抱えながらも私は1人でお酒を飲む事にした。


「ごめんなさいスバルくん、急にお仕事が入っちゃって」

「気にしないで下さい。少しでもユイさんに会えて嬉しかったですから」

「もう……本当に貴方は可愛いわね」


1人で飲んでいるせいか周りの会話が聞こえてきて仕方がない。
ふと、そっちを向けば綺麗な女の人が目に映った。
男の人の顔は女の人の陰に隠れて見えない。

あの人も仕事なんだ……。
皆大変だな、そう思いながらもそっちを見ていればガタンと音を立てながら女性は立ち上がっていた。


「ココのお金は支払っておくから好きなだけ飲んでいってちょうだい。
それと、これタクシー代ね」


そう言って女性は会計を済まし、テーブルに2万円を置いていた。


「ありがとうございます。お仕事頑張って下さいね」

「ありがとう、また連絡するわね」


女の人は、男の人にちゅっとキスをして颯爽とバーを出て行ってしまった。

人のキスシーンを見てしまった。
その衝撃から顔を背ける事も忘れ固まっていた。


「あっ……」


私の視線に気が付いたのか男の人はこっちを向いた。
そして再び私に衝撃が走ったのだった。

そこにいたのは小説家志望のスバルさんだったのだから。
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