いちりょうぐそくっ!
城に帰ってしばらくして姫は夕食を取る。


姫は食事は基本的に独りで食べる。


姫の父国親は激戦地に行っており、今は同じ土佐国の本山茂宗との戦っている。

父と食事するのは1ヶ月に一度あるか無いか・・・という感じである。

しかし姫は全く寂しいなど感じていなかった。むしろ独りで食事すると心が落ち着くのだ。





今日の夕食は猪の肉と鶏肉、土佐で取れた魚介類の刺身と野菜等と豪華である。



これは父国親が姫に健康に育って貰いたいと思い家臣に無理言って作らせているのである。



昔からその健康的な食生活を送っているため、姫は背も高く、生まれてから大きな病気にもならずに育っている。



しかし、父の願いで今のところ叶っているのは健康的なところだけである。


次期当主としては余りにも頼り無さすぎる。




父国親が合戦の間は姫が政治をやる筈なのだが、それを家臣の谷忠澄に丸投げしているのである。









姫は食事が済むとお風呂までの間はお絵描きをする。


その絵はとても上手く、不思議なことに姫が一度も見たこと無い京の町並みであった。



「京に行ってみたいなぁ。」


ボソリと呟く姫は、再び筆を持ってひたすら絵を描き続ける。
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