リアル
リュウくんは、あたしと森川さんがふたりきりじゃ気まずいんじゃないかって心配してたみたいだけど、

あたしは、平気だよ、って目で合図した。


午後の部が始まり、リュウくんがカイ先輩の助手席でコースに出ていった後も、

なんだかのんびりとした時間が流れる、森川さんの隣で、あたしはコースを見下ろしていた。


「――やっぱり……上手いんですね、カイさんって」


タイヤから白煙をまきあげながら、コーナーを華麗にドリフトでつないでいく。

もちろんクラスは中級なのだから、周りのドライバー達もすごく上手なんだけれど……カイ先輩が特にうまく感じてしまうのは、やはりあたしの“ひいき”があるからだろうか。


「あの人はうまいよ」


森川さんが、コースを見つめたまま、腕組みしてつぶやいた。


「練習量が違う。あんなになるには、やっぱり積み重ねが一番だから」


ふうん、とうなずいて、ホームストレートを駆け抜けていくローレルを、あたしはぼんやり眺めていた。




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