リアル

“部員”

カイ先輩から急に連絡が入ったのは、走行会から2週間ほど経ったある日の放課後のことだった。


『7時に部室集合!学祭前の飲み会するぞ!ちゃんと着替えて来るように』


「飲み会に未成年は……」


『つべこべ言わず集合!おまえは保護者同伴だからよろしい』


はあ、と、カイ先輩に言いくるめられるまま、あたしは曖昧にうなずいた。


11月の初めに、大学の学園祭がある。

その模擬店(出店)についての話し合いをするという。


あんなにちゃんとした部室があるのに……わざわざ街まで飲みに出るなんて。

大学生の考えることはよくわからない。


でもこれが、学祭のもう一つの醍醐味なんだと、さっきカイ先輩に熱弁された。

飲んで、お祭り気分に思う存分ひたりたいんだと。


『7時な、遅刻すんなよ!』


完全に浮かれた声のカイ先輩からの電話は、一方的に切れてしまった。

それが可笑しい反面、あたしは不思議でならなかった。


今まで呼ばれたことなんてなかったのに、

どうしてあたしを飲み会に呼んだりしたんだろう――




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