リアル
すると部室に、高橋さんと森川さんがふたりで授業から戻ってきた。

ふたりもすぐに、そのポスターらしきものに気づいて笑い出した。


「カイさん……必死すぎます。なんか見てるこっちが悲しくなりますよ」


と、高橋さんがカイさんを馬鹿にする。


肩にかけていたカバンをおろす森川さんを見ながら、

ああ、今日は5限は休講じゃなかったんだなあ、と、
ひとりでなんだかにやけてしまった。


「でも、今の部員じゃあ……彼女いる人っていませんよね?」


高橋さんの言葉に、あたしも思わずうなずいた。

みんなで合コンに行くくらいだもん、最近のみんなからは“彼女”の話なんて全く聞いたことがない。


「じゃあ全員参加っすね」


高橋さんが笑って言ったその言葉を、カイ先輩が立ち上がりながら遮った。


「いや……森川は参加しないんじゃねぇの」


普段見せない、少々不機嫌そうなその顔に――あたしは少しだけ、妙な胸騒ぎと不安を感じていた。




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