強引な彼の求愛宣言!
「あの、深田さん。……『もてあそばれたっていいから』って?」

「え?」

「え?」



なんだか会話が噛み合っていない。というか、お互いの思考にズレがあるような。

数秒間、そのまま固まった後。武藤さんは私の肩口に顔をうずめたかと思えば、はあああっと深いため息を吐いた。



「わかった。気付いた。ごめん俺、がっつきすぎて1番大事なこと言ってない」

「え、」

「すきだよ、麻智」



セリフと同時に目の前でやさしく微笑まれて、言葉を失った。

彼の大きな手が、私の髪を撫でる。



「俺が何も言わなかったから、勘違いしたんでしょ? というか、気付いてなかったんだ?」

「えっ……え?」

「はは。驚きすぎ」



楽しげに声をもらして、髪に触れていた手を頬に移動させた。

親指の腹で、頬をそっとなぞる。



「というか、この場合俺がひどいな。麻智もよくもまあ勘違いしたままここまでついて来たね」

「だ……って、」



さっきから名前で呼ばれていることにドキドキしつつも、私は答える。



「武藤さんの気持ちは全然わからなかったけど、でも、必要とされてるなら一緒にいたくて。あ、遊びとか、こないだ松岡さんに邪魔された腹いせでも、いいからって……」

「いやぁ、自業自得だけど俺信用ないなー」



言葉のわりにまったくダメージを受けていない表情で、武藤さんが私のひたいにキスを落とした。
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