その手をぎゅっと、離さないで

付き合ってるならそう言ってくれればいい。

なんで言わない。

「僕の片想いやな」

なんでそんな悲しい目すんだよ。

俺だって片想いしてんぞ。

しかもお前と同じ人に。

さっき桜華が俺のこと『信じてたから』って言った。

正直嬉しくて舞い上がりそうだった。

だが、みんないるしそんなの無理。

俺ってわかりやすくなったな。

片想いってこんなにも辛かったんだな。

桜華は大輝のことが好き…。

好きな人に好きな人がいる。

辛い。

これが本当の恋ってやつ…?

「ほな、帰るぞ」

「お、おう」


戻ってからはいつも通りに桜庭と話した。

俺は少し気まずかったけど…。

仕方がない。

桜華に…

桜華にだけはバレちゃダメだ。
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