その手をぎゅっと、離さないで


学校祭はもうすぐ終わり。

二日間の中での思い出といえば…。

楓華と回ったくらい。

特に燃えるようなことはなかったし。

「はあ〜疲れた」

して意味があるのかどうか。

皆、グダグダでやっていたし。

学校祭ってこんなもんだったんだなぁ。

私の愛読している漫画では楽しそうだったのに。

「桜華〜、帰ろうぜ!」

またこのタイミングで…。

なんて最近は思わなくなってきた。


前までは少し憂鬱だった帰り道。

他人からの目が気になって嫌だった。

『夕日、綺麗だな』なんておもいっきりカップルじゃん!

だから光輝に彼女がいた頃には罪悪感があった。

でも今ではすごく楽しくて、幸せ。

これが…恋なんだよね?


「今日は無理です〜だ」

「え、なんでだよ」

「ははは、嘘だよ!」

こんな他愛もない会話が今の私にとって宝物。

光輝には何も感じないかもしれない。

手を繋いだからって特別扱いしてもらいたいわけじゃない。

『手相ってさ、変えれるんだぜ?
手相はその人の人生を表している。
だからこの世界の人はその手相を変えられる人
にいつか巡り会うんじゃないかな』

そんな話をしてくれたね。

だから私は…。

あなたのその手の中に少しでも長く、近くにいたい。
< 172 / 195 >

この作品をシェア

pagetop