その手をぎゅっと、離さないで

記念日



―――あと5分…

風が冷たい。

部活のウインドブレーカーを着ているのに体が震える。

緊張のせいかな。

あと5分で4時20分。

D組の教室には誰もいない。

机の上にはさっきまで私が読んでいた推理小説の本のみ。

11月も残りわずか。

体育祭も終わり、学校祭も終わり、皆部活に集中している時期だ。

そんな中、私は今あの人をまっている―――


――――――ガラッ―――

「桜華〜、どうした?」

「光輝っ……」


今日、告白することに決めた。

稚菜と楓華に呆れるくらい相談した。

でも『最後に決めるのは自分』その言葉が頭の中をリピートした。

だから、もう決意した。

言うしかない。

私にそんな勇気があるかはわからない。

一発勝負の大一番。

いくしかない…!

「光輝、あのね話があるの」

「え、そんなのわかってるわ!
だから呼んだんだろ」

「確かにそうですけど〜…」

緊張してなかなか本題にいけない。

落ち着け…。

落ち着け…。
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