秘密の契約
「ありがとう 千波くん」



送ってくれてありがとう 何回、何十回言っただろう。



いつもそれを言うたびに胸が苦しくなる。



「日菜、溜め込んではダメだよ」



「大丈夫!すぐに元気になるから」



無理に笑顔を向けると逃げるように門の中へ入って行った。



自分から逃げていく日菜の後姿を見て千波は考え込む顔つきに変わった。



自分の傷の事より郁斗を傷つける事を嫌がるのか?




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