秘密の契約
夏葉が帰った後、2人は食事を頼んだ。



「夏葉さんは……日菜の事も本気だった」



千波が言う。



「え?」



「男同士だからわかるんだ あやめさんの深い愛で愛されるより愛したかったんじゃないかな」



食後に運ばれてきたコーヒーを一口飲む。



「俺も愛されたいけど愛したい」



真剣な顔つきで日菜を見て言う千波にトクンと胸が高鳴った。



「千波くん……」



恋愛に一方通行はありえない。



もしありえるとするならば妥協が2人の間に生まれた時かもしれない。



「日菜」



千波が真剣な話をした後にくすっと笑う。



「ここに付いているよ」



手を伸ばして日菜の口元に付いた食べかすを優しく取り除いた。




< 544 / 684 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop