秘密の契約
無事がわかった日菜の母は千波に任せて入院に必要な物を取りに家に戻った。



千波はベッド横のイスに座り日菜を見守っていた。



日菜が眠りながら顔をしかめた。



「日菜?」


千波は日菜の額にかかる髪をそっと払いながら名前を呼ぶ。



千波の声に反応したかのように日菜のまぶたがゆっくり開いた。


「日菜 気分は?」


焦点の合わない日菜の目はしだいにあって千波の瞳とぶつかった。



「ち……なみ……くん……ここ……は?」



「病院だよ 学校の階段から落ちた事覚えている?」



その言葉に日菜は目を閉じるとすぐに開いた。


「う……ん……」



「心臓が止まるほど驚いたよ 日菜」



日菜の頬を指の甲で優しく撫でている。


そうだ・・・寝不足でめまいがして階段から……。


「どこか痛い所はないか?」


まだぼんやりしている日菜の額に手を置きながら聞く。



「どこも痛くない」



「2・3日様子を見るために入院しないといけないんだ」



「入院?あたしもう大丈夫だよ?」



日菜は寂しい病室に泊まりたくなかった。



「わがままはだめだよ 日菜 それでなくてもみんなを驚かせて心配したんだからね?」


怒った顔をしてみせる。




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