秘密の契約

郁斗のはからい

翌日、郁斗と愛がお見舞いに来た。


「良かった 元気そうで」


愛が日菜の顔を見てホッとして言う。


「まったくドジだよな?階段から落ちるなんて」


憎まれ口を利くのは郁斗。


「どうせドジです!」


頬をぷくっと膨らませて郁斗を睨む。


「一歩間違えば首の骨を折って死んでいたかもしれないんだぞ?」


冗談めいて言っていた郁斗なのに急に真顔になって日菜に言う。


「う、うん……わかってる でも立ちくらみしちゃったんだからしょうがないでしょ?」


どうして郁斗にそんなに怒られなくちゃいけないのよ。


「お前は今度から絶対に手すりをつかまって階段を歩けよな?」


まるで幼稚園児に言っているみたい。


「もう!知らないよっ!」


日菜が怒ると愛がなだめた。


「兄貴にあんまり心配かけるなよな」


兄思いの郁斗だ。




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