秘密の契約
異常がなければ日菜は明日退院できる。


「日菜、あさってから期末考査だよ？大丈夫？」


愛が聞く。


「……そうだった」


すっかり忘れていた日菜は青ざめる。


「忘れてたの？やばいじゃん」


愛もそんな日菜を見て青くなる。


「まったく、ほんとお前、ボケだな？」


郁斗が呆れ顔だ。


「人をボケボケって言わないでよっ　後で勉強道具持ってきてもらうもん」


「まったく、俺が特別に取り計らってやったから　楽しみにしてろよ」


「特別に取り計らう？それって何？出るところ教えてくれるの？」


日菜が嬉しそうな顔になる。


頭は悪くはないが最近千波の事で悩んでいた日菜は勉強が手につかなかったのだ。


「そんな訳ないだろ？後でのお楽しみだよ　じゃあ、俺ら帰るわ」


そう言うと愛の腕を引っ張って病室からいなくなってしまった。


いったい何を取り計らったんだろう？


郁斗、帰っちゃったじゃん……。


郁斗のせいで疲れを感じた日菜は枕に頭をつけるとあっという間に眠りに落ちた。



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