秘密の契約
日菜が目を覚ますと病室にいるのは一人ではなかった。


「千波くん……」


ベッドの傍のイスに座った千波と目が合った。


「ぐっすり眠っていたね」


「また来てくれたんだ」


千波の顔を見てうれしそうな顔になった。


「もちろん 昨日、また明日ね?って言っただろう?」


「う、うん……」


忙しい千波くんだからこんな時間には来ないと思っていた。


面会時間ぎりぎりになってくるとか……そんな事を考えていたのだ。


「日菜のママがお弁当を作ってくれたんだ」


ベッドサイドの机に置かれた重箱を見せる。


「家に寄ってくれたの?」


「日菜の勉強道具を持ってくる為に。萌に勉強道具を探してもらったよ 待っている間にお弁当を作ってくれたんだ」


「勉強道具……?」


日菜は訳がわからない。


「あさってから期末考査って郁斗が言ってたから 判らない所は教えてあげるよ」


「あ……」


特別な計らいって千波くんが教えてくれる事だったんだ。


心の中で郁斗に感謝した。



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