秘密の契約
「千波くん おはよう」


まだ時刻は10時。


会社だよね……?


『おはよう 日菜』


千波の声は沈んでいるように聞こえた。



「どうしたの?こんな時間、珍しいって言うか初めてだね」


『日菜、24日の食事 だめなんだ』


嫌な予感的中……。


「うん……」


日菜の「うん……」に千波は可哀想になった。


『午後の便でニセコのホテルに行かなければならなくなったんだ 帰るのは26日になる 戻ったら食事に行こう』


「・・・うん」


千波くんの出張は仕方ない事。


頭では分かっているけど心は痛かった。


楽しみにしていたからドーンと落とされた気分だ。


でも千波くんのせいじゃないから明るくしなくちゃいけない。


「千波くん 気にしないでね 仕方ないんだから 電話待ってるから♪」


『日菜、本当にごめんね 羽田に着いたら電話するから』


そう言って電話が切れた。



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