秘密の契約
「あれ?日菜がいないよ?」


最初に気づいたのは梨絵。


「どこに行ったんだろ」


愛が会場を見渡す。


郁斗も近くを目で探す。


「ったく、どこへ行ったんだ!」


郁斗は会場の中を探す為に立ち上がった。




テーブルに残された愛と梨絵。


「朝倉くんは日菜の事になると一生懸命だよね?」


梨絵が慌てて探し始めた郁斗の後姿を見て言う。


「……そうだね」


愛は寂しそうに笑った。


郁斗が日菜の事を好きだったのは知っている。


ずっと郁斗を見ていたから。


日菜に嫉妬心が芽生えないわけでもないが自分も日菜が大好きなのだ。


幼馴染の彼らに入る隙はない。


だけどいつか自分に振り向いてくれるのではないかと淡い期待はいつも胸の奥にある。





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