秘密の契約
郁斗は会場の中を探し回ったが日菜は見当たらなかった。


もしかしてテーブルに戻っているのでは？と戻ってみたが愛と梨絵しかいなかった。


どこへ行ったんだよ、


部屋か……？


郁斗は会場を出るとエレベーターに向かった。





「郁斗」


エレベーターを待っている郁斗に千波は呼んだ。


「兄貴……」


「慌ててどうしたんだ？」


「日菜が会場にいないからもしかしたら部屋に戻ったのかなって思ってさ」


そう言うと千波の表情が変わった。


「まったく！兄貴のせいだからな！さっき日菜は過呼吸の発作が出たんだ　きっと精神的なものだよ」


郁斗はそういい捨てて開いたエレベーターに乗った。




日菜が過呼吸の発作……。


仕事でここに来ているという事が邪魔して優しくしてやれなかった自分を責める。


日菜と話さなければ。


きびすを返して千波は探し始めた。





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