秘密の契約
「日菜、こっちへおいで」


左足がズキンズキンと波打つように痛む。


日菜は小さく首を振っている。


来たくないって事か……。


千波は心の中で深いため息を吐いた。



「……日菜、シップを取ってくれないか?」


シップと聞いて日菜は近づいてきた。


シップの入っている引き出しを千波が指差すと日菜は一枚取ってきた。


手には包帯も持っていた。


「……本当に捻挫だけ……?骨は折れていない?ひびは?脳震盪起こしたんでしょ?病院に行かないと」


日菜は涙の跡が残った顔で左の足首を見ている。


看護士を出て行かせてしまったので不安なのだ。


「それほど酷くないよ。動かせるし 頭はぶつけていない 寝不足がたたっただけだ」


日菜からシップを受け取った千波は少し腫れてきている足首にシップを置いた。




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