秘密の契約
包帯の巻き終えると千波は日菜を見た。


包帯の巻かれた足を見ている。


日菜は包帯を巻き終えるまでじっと見ていた。


顔は今にも泣きそうだ。


寝不足と聞いて日菜は変な想像をしてしまった。


やっと涙が止まったのにまた涙がこみ上げてくる。


千波に涙を見せたくない日菜は後ろを向いてドアに向かった。


「日菜っ!待ってくれ」


立ち上がった千波は思いっきり左足に体重をかけてしまって小さく呻いた。


日菜はビクッと立ち止まって振り返った。


振り返ると手が届く所に千波が立っていた。


「日菜、逃げるな」


逃げるなと言われても後ずさりをしてしまう。


そしてとうとう背中は壁に当たった。


「……千波くん」


端整な顔は怒っているのか呆れているのか表情が読めない。


トン……


千波の手が顔の両脇の壁に置かれた。



逃げようにも逃げられなくなり、日菜自身、逃げたいのかもわからなくなった。







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