秘密の契約
従業員の食堂で千波はスタッフ数人で昼食を食べていた。


中に十和子もいる。


「昨日はビックリしましたよ 捻挫した足も良くなったみたいですね」


事務所の女の子が言う。


千波の左足首は今朝、医師にしっかりテーピングを巻いてもらったおかげでなんとか足を引かずに歩ける程度になった。


「そうですよ 疲れたんですね~ 十和子さん ちゃんと見てあげなくちゃ」


もう一人の女の子が十和子に言う。


そう言われて十和子は笑顔になる。


「どうして彼女に見てもらわないといけないんですか?」


千波は箸を止めて彼女たちを見る。


「えっ?十和子さんと付き合っているんじゃないんですか?すごくお似合いだから」


千波が口元に笑みを浮かべる。


「十和子さんとはただの仕事仲間です 僕には大事な人がいるので」


千波がそう言うと周りにいた者は驚いていた。


十和子は皆に千波と付き合っているという様なそぶりを見せていたからだ。


「先に行ってます」


千波はごちそうさまと言って立ち上がった。






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