秘密の契約
「今日は滑ったんだろう?」


料理を食べ終えて日菜は特別注文のクリスマスケーキをおいしそうに食べている。


「うん 郁斗が中級者コースに連れて行くんだもん 転んでばかりで身体が痛いよ ほら 痣もできちゃった」


腕に出来た痣を見せる。


日菜はスキーが得意じゃないから初級コースで十分なのだ。


「郁斗なら中級者コースでも退屈だったんじゃないかな?」


「うん そうなの 妥協してやったんだって威張られたし……午後は郁斗だけで滑りに行ったんだよ」


その場面を想像して千波が笑う。


「午後は何をしたの?」


「もちろん温泉っ ふやけるまで入っちゃった」


「俺も一緒に入りたかったな」


その言葉に日菜の顔は耳まで真っ赤になったのだった。



「日菜、ゲレンデに出てツリーを見ようか」


レストランを出ると千波が言った。


「本当っ?うれしいよ 千波くんと一緒に見たかったの」


「部屋に戻ってコートを取ってこよう」





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