オタク女子。

ひかるの手が私の頭の上に翳されてそこで止まった。触ってもいいのか迷っているらしい。

そして迷いが吹っ切れたようにひかるの手が私の頭のてっぺんに置かれる。そしてぐしゃぐしゃと乱暴に撫でられた。

ひかるはなんも言わない。
なんも言わないけど、気を遣ってくれていることが十分に伝わってくる。なんだ、お前もそんな気遣いができるようになったのか。

お互い成長して、大人になったのだ。


「…これは泣いている娘をあやす父親の気持ちだ」
「はぁ?」

頭上にあったひかるの手が離れたと思うと、私は次の瞬間温かい感触の中にいた。


「これは泣いている娘をあやす父親の気持ちだ」
「2回も言わなくたってわかってるって。あと苦しい」
「…ごめん」

少し私を抱き締める腕の力が緩む。大して楽になってない。

でも、気持ちはさっきよりは随分と楽になった。
思ってたよりも彼氏にフラれたのがこたえてたのかな、私。思ってたよりも私は寂しがりやだったようだ。




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