オタク女子。
その言葉に不覚にもドキン、と胸が高まった。
これは、反則だ。
ここでお揃いだ、という彼の感覚。ああ、なんて嬉しいことを言ってくれるのだろう。
立ち止まった私を不審に思ってひかるが振り替える。その顔は夜のライトで照らされていた。その顔が驚きで埋まる。
「…泣いてるのか」
え、と思って慌てて自分の頬を触ると確かに濡れていた。
「うそ、なんで」
こんなことってあるんだ。漫画オンリーの出来事だと思ってたのに。
…やだ、泣きたくない。人前で泣く女は私の嫌いなタイプベスト3にも入ってるのに。
先を歩いていたひかるが私の元まで戻ってくる。上から注がれる視線から逃れようと私はそっぽを向いた。