フラワー・バレンタイン
「なっ……」

河野クン、ズルいっ!

“せーの”の合図で私が出したのは

『例のアレ』。


彼がそれを呆然と
私と包みを交互に見た。

「な、何だよ水野サン。
…コレ…俺にくれるの?」

「う~、うん。
あの…ちょっと作りすぎちゃって…
余った、そう。余ったの」

「もしかして…手作り?」

うわっ、やっぱり重いって退かれてる。

「あ~、たまたまね、家にチョコレートがいっぱいあって…あ、手作りっていってもさ、溶かすだけだからっ」

「そ、そうなんだ。なーんだ。溶かすだけかあ。そうだよね…」

「そんなことないわっ‼
チョコの種類でも温度が違ってて
テンパリングって中々大変…」

「へぇ、じゃあ、ワザワザ俺の為に?」

「あわわ…じゃなくてっ」

「なんだか包みもスゴく凝って…」

「フツーよ、フツー‼100円ショップ!」

「ふーん、そう。…ま、いいや。
食っていい?腹へってるし」

「ど、どうぞ?…その為に作ったんだから…」
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