フラワー・バレンタイン
その日から、まるで俺の目にフィルターでもかかったみたい。
彼女のさりげなさすぎる気遣いが、どんどん鮮明になってきた。

水野サンって実にこっそり。

誰にも気付かれることもなく、皆が上手くいくように、小さな気遣いばかりしてる。

あの時だってオニ課長
気づいてたのかも知れない。

だって俺の初歩ミスを被って名乗り出た彼女にさ
『そうか…気を付けて』
で済ませちまったから。


あ~あ
今もまた監査員に嫌味言われて…
それはあの子がサボったヤツだぜ?

だから昇進遅れるんだろ⁉
オマエ、アピールしなさすぎ。

あ~~、もうっバカっ‼

親切はな……

俺だけにしとけっ‼

ヤキモキして仕方ない。

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