恋の後味はとびきり甘く
 髪を撫でていた彼の右手が首筋へと移動した。くすぐるようになでられ、背筋が小さく震える。

「鈴音さん、大好きです」

 私の左手に彼の右手が重ねられ、シーツに押しつけられた。仰向けにされ、裸のままの肌に彼の肌が重ねられる。

「朝までまだ時間がありますね」
「え、どうかな。時計を見てみないと……」

 続きを言おうとした唇を、キスで塞がれる。今度はさっきみたいに離れずに、いつまでもくっついたまま。その唇をもごもご動かして彼が言う。

「大丈夫。あと二時間は一緒に過ごせます」

 その時間には朝食をとる時間も入れないと……。

 でも、そんな理性的なことを思ったのはそのときだけ。熱を帯びていくキスに、理性はあえなく形を失ってしまった。
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