恋の後味はとびきり甘く
 打ち込んだメッセージをしげしげと眺めて考える。

 うーん、なんだか他人行儀っぽいよね。だって、私たち、キスまでした仲だし……。

 そうだよ、キスしちゃったんだよ!

 水族館でのことを思い出したら、顔が熱くなってきた。

 二十五歳にしてできた初彼。好きな人が私を好きになってくれるってすごいことだよね。すごく幸せ。

 あったかい気持ちに浸りながら、何度かメッセージを消しては打ち直してみたものの、結局最初と同じ文面に落ち着き、それを送信した。

 涼介くん、読んでくれたかな? まだバイト中かな?

 チーズの焦げるいいにおいがしてきて、スマホをローテーブルに置いた。電子音が鳴って、オーブンレンジがグラタンの焼き上がりを知らせてくれる。取り出そうと立ち上がったら、スマホがメッセージの受信を告げた。ドキドキしながら新着メッセージを開けたら、涼介くんからの返信だった。

『メッセージ、ありがとうございます。今バイト終わりました。腹減ったぁ。これから電車で帰ります』

 私は急いで返信メッセージを送る。
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