王子の初恋は私な訳ない

「やっぱり俺って振られたの?」
そう言いながら私のおっぱいに顔を埋める王子。
さっき王子がしてくれたように、王子の頭を撫でてみた。
「うーん…」
私はその人の事や状況を何も知らないのでなんとも答えられなかった。
胸に埋まってる王子が可愛すぎてどうしようもなかった。

「最初好きって言ったら、ごめん。って言ったじゃん。でも俺と一緒に居る時凄く可愛い顔してんじゃん。どっちなの。」
そう言いながら私に抱きつく王子。
耳まで真っ赤なのをみて本気の恋なんだなと感じた。
「…王子はとても素敵な人だよ。」
そう言って頭を撫でる。
私にはそれしか言えない。

「ねえ、どっちなの。」
そう言って私を上目遣いで見上げる王子。
とっても可愛い。
王子に好かれてる人は世界一の幸せ者なんだなと感じた。

すると王子は私を抱きしめ押し倒した。
そのあと何度か優しくキスをして、頬や耳や首筋にキスをされた。
「好きなの。」
私の耳元で王子が囁いた。

王子は相変わらず私を大事そうに抱きしめる。
王子の吐息が首元に当たる。
こんなに優しく抱きしめられたのも、あちこちにキスされたのも初めてだった。

気付いたら涙が出ていた。

自分には釣り合わないって分かってるけど王子の事が忘れられなくて、他の人とはして来なかった事だった。
今その大好きな王子とこうしてこうなんかなってるのはとても嬉しい事だけど、これは誰かの変わりなのだと分かってる。
分かってるからこそ優しくされると辛かった。

「だめだよ、王子。本気にしちゃうでしょ。冗談キツイよ。」
そう言って涙を隠し押し返してクシャッと笑ってみせた。

「もう、王子も意地悪だねっ」
そういって両手で顔を隠す。
やっぱり隠したはずの涙はまた溢れた。

すると私の顔が王子の胸元に来るように抱きしめられていた。
私をしっかり抱きしめながら、私の頭部にキスをした。

「自惚れて良いんだよ。」
そう言ってまた強く私を抱きしめた。

「俺が好きなのは愛理だよ。」
私の震えが止まるまで、ずっとずっと抱きしめてくれた。
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