キミに恋の残業を命ずる
「部長…確か昨日まで出張だったんじゃ」

「ん。平気だよ」


と大きなスチロールを運んでくれる部長。


「そうそう。それはそれ、これはこれだからね。部下たちとの親睦を深める会の準備だ。上司こそ率先して準備しないと、痛っ」

「口動かす暇あったら身体動かせ。ただでさえ一日中座りっぱなしの仕事してるんだから、こんな時くらい動け」


ぷっ…思わず笑っちゃうやりとりだ。ほんとに仲がいいなぁ。


「すみません、じゃあお願いします」


そうして両上司にすべてを運んでもらうと、広いキッチンはあっという間に狭くなってしまった。


「じゃ、ここからはわたしがやりますんで、おふたりはリビングで休んでてください」

「うん―――って言いたいところだけど、この臭いだと休む気にはなれないなぁ」


…たしかにお魚の新鮮な臭いが素敵なお部屋に充満している…。

これは申し訳ない…。
早く終わらさなきゃ。


わたしはお魚たちと対峙した。
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