キミに恋の残業を命ずる
「ずっとつけていたのよ。あんたを破滅させてやろうと思ってね。いえ、助けてやろうとしての間違いかしら?
良かったじゃない。これでみじめに捨てられる前に自分から身を引けるわよ?」

「…」

「これを今から総務部用のラインに乗せてあげる。うちの子たちみんな親切だからきっと社内中にこの動画を広げて知らせてくれるわね。そしたら課長もウソを通せなくなってあんたをさっさと手放してくれるわよ。良かったわね、これで別れやすくなった。わたしに感謝することね」



決定的だった。

散らばったピースがすべてきれいにはまって出来上がったのは、わたしを絶望へ突き落す残酷な現実だった。


なにもかもが歪んでぼやけていく。


涙があふれて、絶望で目の前が真っ暗で、なにも見えない…!


こんなのって、ないよっ…!


わたしは寒空の下、駆け出した。










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