凸凹リレイション
*凹*


 明日美は鏡の前で途方に暮れていた。

 夏の到来を思わせるような天気の良い日曜日。お出かけ日和の本日は、八重と俊介と一緒にブラウス生地を買いに行く約束をした日でもある。

 服は香苗の助けもあってすんなり決まったのだが、今問題となっているのは髪型の方だ。

 明日美の髪は、量が多いうえに癖があるので、下ろすと水分を含んで広がって、逆に手入れの悪い印象になる。だからいつもはふたつ結びにしているのだが、今日の私服にその髪型はとても野暮ったい。


「どうしよう」


 もう三十分以上鏡の前で試行錯誤している。でも、どうやっても可愛くはならないことに明日美は嫌気がさしてきていた。

(せっかく、香苗ちゃんが服選んでくれたのに。せっかく……)


「……三笠くんにみせるのに」


 こぼれるように出てきた言葉に自分で驚いて、思わず口を押さえる。

 最初に話しかけてきたあの日以来、俊介は昼休みになると明日美のクラスに来て、アニメ談義を披露する。八重も明日美もアニメの話題は大好きだから、口ごもりながらも俊介には話しかけられるようになっていた。加えて俊介は話上手で、一緒にいて話題が尽きるということがない。
 
 
(彼になら、八重ちゃん以外には話せなかった自分の趣味も、言えそうな気がする。だけど)


 再び、鏡にため息を吹きかける。真実を映し出すそれは、俊介のような格好いい男子の隣にいて釣り合うような可愛い女子を映し出さない。どこか野暮ったく、自信のなさそうな自分が、いじけた瞳で映っている。
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