凸凹リレイション
*
駅のホームに着いた時には、明日美は汗だくになっていた。途中、明日美を待ちながら休憩していた香苗は、それほど息も弾んでいないが、明日美はゼイゼイと肩で息をしている。
汗を拭こうとハンカチを取り出したとき、明日美のポケットから一緒にティッシュが落ちた。
通学時間の電車は混んでいて、ホームは人が雑多にあふれている。落ちたティッシュを拾おうと明日美がかがむのと同時に、到着した電車の扉が開いた。途端にたくさんの人があふれ出て、そして乗る人が吸い込まれていく。
「あ、あれ。やだ」
出る人に押され、乗る人に飛ばされ、ふらふらになった明日美の手を香苗は軽く舌打ちをして引っ張る。
「何してるの。ホラちゃんと自分の足で立って」
「う、うん」
香苗のおかげで、何とか明日美もすれすれのところで電車に乗れ、ふたりでふうと息をつく。
「もう、どんくさいんだから」
「へへへぇ。香苗ちゃんありがとぉ」
(ありがとぉ、じゃないでしょ)
にこりと笑う明日美に、香苗は苦笑するしかない。せっかく走ってきたのに、今ので電車に乗り遅れたらどうする気だ。
地味でどんくさくい明日美に、イライラするのはいつものことだ。
それでも、一緒に通うのは日常になってしまっているからか。
(まあ親の目もあるし。……妹みたいなもんだしなぁ)
明日美に対するいら立ちを、香苗はいつもそんな言葉で置き換えていた。
駅のホームに着いた時には、明日美は汗だくになっていた。途中、明日美を待ちながら休憩していた香苗は、それほど息も弾んでいないが、明日美はゼイゼイと肩で息をしている。
汗を拭こうとハンカチを取り出したとき、明日美のポケットから一緒にティッシュが落ちた。
通学時間の電車は混んでいて、ホームは人が雑多にあふれている。落ちたティッシュを拾おうと明日美がかがむのと同時に、到着した電車の扉が開いた。途端にたくさんの人があふれ出て、そして乗る人が吸い込まれていく。
「あ、あれ。やだ」
出る人に押され、乗る人に飛ばされ、ふらふらになった明日美の手を香苗は軽く舌打ちをして引っ張る。
「何してるの。ホラちゃんと自分の足で立って」
「う、うん」
香苗のおかげで、何とか明日美もすれすれのところで電車に乗れ、ふたりでふうと息をつく。
「もう、どんくさいんだから」
「へへへぇ。香苗ちゃんありがとぉ」
(ありがとぉ、じゃないでしょ)
にこりと笑う明日美に、香苗は苦笑するしかない。せっかく走ってきたのに、今ので電車に乗り遅れたらどうする気だ。
地味でどんくさくい明日美に、イライラするのはいつものことだ。
それでも、一緒に通うのは日常になってしまっているからか。
(まあ親の目もあるし。……妹みたいなもんだしなぁ)
明日美に対するいら立ちを、香苗はいつもそんな言葉で置き換えていた。