放課後、キミとふたりきり。

「矢野、放課後ヒマ?」

「ヒマじゃない」


間髪入れず答えた矢野くんに、栄田くんだけでなく教室全体が凍り付く。


みんなしまったと思ったはずだ。

わたしたちがいくら作戦を練っても、矢野くんに用事があって、放課後残れなかったら意味がない。


よく考えてみれば、明日で転校するということは、引っ越しも明日か明後日に予定されているということ。

そうなると引っ越しの準備があったりと忙しいのは当たり前だ。

どうして誰もそのことに思い至らなかったのか。


「うそうそ! ヒマだろ? ヒマだよな!?」

「だからヒマじゃねーって」

「お願いだからヒマって言ってくれよ~っ」


すがるようにして泣きまねをする栄田くんに、矢野くんはため息をつきようやく顔を上げた。

はっきりと「面倒くさい」と書かれているような顔を。

< 48 / 223 >

この作品をシェア

pagetop