私のエース
 『だからみずほ……だからみずほ、思いっきり愛そうって決めたんだって。きっかけは私と彼氏だったらしいけどね』


『そういやーみずほ言ってたな。有美に勇気を貰ったって』


『ほら彼氏ってエースじゃない。周りがうるさくて。でもストレートに言ってみたの『大好きだから付き合って下さい』って』


『でも彼氏も陰で言ってたよ『ずっと気になっていたって』さ』

私は磐城君のその言葉に震えていた。




 私達はカフェのテラス席に座った。


『転校は先生のため?』

磐城君の発言に驚いた。


『知ってるの? あっ、そうか。だったら早いわ』
私はそう言いながら、継母と先生のツーショット写真を見せた。


『誰にも言わないでね。パパ、これを見て心臓麻痺を起こしたの』

その途端、磐城君の顔が引き吊った。


『いい気味よ! 先生と結婚が決まっていたママを、パパは無理矢理奪ったの』


『確か……君の本当のママが亡くなったからだって聞いたけど』


『パパは私の面倒をみるのがイヤだったの。でもパパ酷いの。財産分与のこと親戚に言われて、ママを籍に入れなかったの。戸籍取り寄せてみて解ったことなんだけど……』

私は磐城君に、こき使われだけこき使われてポイされた継母の経緯を話した。磐城君の顔が更に険しくなっていた。




 『パパ、浮気だって騒いで興奮して……そのまま入院したみたい。でもね、そもそも夫婦じゃないんだから……』
私は笑った。


『お願い、協力して。恋人同士復活させようよ』

私の提案を磐城君は即座にオーケーしてくれた。


磐城君はみずほの事件のために行けなくなっていた探偵事務所に向かおうとして席を立った。




< 55 / 95 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop