アオゾラをカナデヨ
「ここなら誰もいないし、雨にも濡れないから」

「うん、ありがとう」

ここに来るまで安斉くんが何も聞かずに黙っいてくれたお陰かな、やっと少し落ち着いてきた。

「ちょっと飲み物買ってくる」

傘も閉じないで、また階段を降りて行ってしまう安斉くん。

気を使わせてしまってるのが申し訳ない。

ちゃんと話さないとーー。

「お待たせ!」

私の好きなカフェオレを持って戻ってきた。ちゃんと普段から私を見てくれていると思えて嬉しくなる。

「ありがとう」

甘いカフェオレと、隣りの安斉くんの柔らかい空気が私を癒やしてくれる。

もう、大丈夫。

「落ち着いたか?」

「あ、うん」

「おまえ雨嫌いって……何かあんのか?」

「……ん、実はね」

私はゆっくりと一平のこと、あの事故のことを話す。

その日のことも、熱を出してしまったことも。
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