アオゾラをカナデヨ
「ソウ⁈ どうした?」

驚いた安斉くんの声にハッと我に返り、掴んでいた手を離す。

「あ、ごめん。ちょっとびっくりして……」

「大丈夫か?」

心配そうな声。

「うん」

深呼吸して震える気持ちを抑えようとする。どうしよう、安斉くんが戸惑っている。

「どっか入ろうか?」

「ううん、大丈夫」

大丈夫、誰もぶつかってないし怪我もしていない。

「ちょっと話したいし、どっかで休もう」

「うん、ごめんね」

「いや、静かなとこがいいな」

そう言って歩き出す。

さっき、雨も悪くないって思ったばかりなのに……なにも話さない安斉くんの傘の青にゆっくりと付いて歩く。

着いたのは、駅の向こうの公園だった。

確か、私たちの高校のある南森町と、隣の北森町を分けているのがこの公園だって聞いたことがある。

雨で誰もいない静かな広場をぬけ、階段を登り東屋で腰掛ける。
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