恋文
僕が手紙を読み続けると、彼女は黙って聞く。
読み終える頃には、僕の声は震えていた。
やってしまった、という後悔と、小さな開放感。

彼女は微笑む。

「今日のあの人は、私に告白をしたみたいだね」

そう言って、僕の目を見つめる。

「私は、私を置いて散歩にも行かない人が好きだよ。目が見えない私が好きって言ってくれるのも、嘘をつき続けて私のそばにいてくれるのも、好きなの」

彼女はなんてことないように告げるけど、その頬は少し染まっていた。

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